隣の子が本を出版するとか言うから自分にも何か出来ないか焦って考える
タイトルの通りです。
無駄に焦っています。無駄に。
ちなみに"自分にも何か出来ないか"は
「あの子に協力できることは何かないかしら♪あはは♪」
の意味ではなく
「本が売れたらあいつに莫大な印税が入るじゃないか。同じような環境で生きてるのにそんなに差をつけられてたまるか。私だってなにかしてやる」
の意味です。
ええ。性格悪いですけど何か?
事の発端は私のバイト先であるバーでのこと。
約半年前、去年の9月にバーはオープンした。
以前数年間違う場所でバーをやっていたが、借りていたビルが建て替えで壊すことになり、店は閉店した。閉店後約一年、そのバーの店長がオーナーとなり、自分の店として今のバーをオープンした。
従業員は前の店からも何人か来ていて、私も、本を出すという噂のその子(A子)もそうで、オーナーとは3、4年の付き合いでみんなわりと仲がいい。
オーナーは副業でライターをしている。(というか本業?)
スポーツ関係のライターで、スポーツ誌に毎月コラムを書いていたり、DVDを出していたり、テレビにもちょこっとだけ出たり、まぁなんか色々やっている。
最近では健康系の本も出版して、その印税でいまのバーもオープンしたらしい。
聞くところによると、1冊目の本は10万部以上売れて増刷もかかり、2冊目もなかなか好調だそう。
そんなオーナーが最近、「次の本はA子の恋愛本でも出そうかな」とか言い出したのだ。冗談ぽいトーンで話していたが、奴は本気だろうと私は確信している。
このA子という女、なかなか非の打ち所がない。
歳は26歳。美人。小悪魔。美人で小悪魔といっても世間一般でいう嫌なイメージではない。
素でモテる女子なのだ。
20代前半の頃には某女性誌で読者モデル的なこともやっていて、本当に可愛い。
髪も綺麗、肌も綺麗、白くて細い。センスもいい。
癪に障ることに、性格も悪くない。
"誰から見てもいい人"みたいな薄っぺらい建前ではなく、初対面では少しツンとした印象で、綺麗な顔立ちも相まってとっつきにくいタイプに思える。しかし少し話すと、芯があって凛とした魅力的な女の子であることがすぐわかる。
かといって完璧なわけではなく、運動音痴であったり、たまにすごく抜けているところがあったり、長女ゆえの性格なのか頑張りすぎてしまうところがあったり、異性はもちろん、同性からも好かれるタイプ。
歌もうまい。文章を書くのもうまい。
マイナスな部分を挙げるとすれば、恋愛面。
一言で言ってしまえば男たらし。
でもそこも憎めない。全く嫌味が無いのだ。
モテ女ゆえ常に彼氏はいる。ころころ彼氏を変えるわけではなく、1人と付き合ったらわりと長く付き合って、何度か同棲もしていると思う。
しかし遊びに対する意識が異常に貪欲で、彼氏の目を盗んでは常に飲み会という名の合コンをしている。何度か危ない目にもあっていて、浮気相手からA子に使った金銭を返せと要求されたり、A子が遊び歩いてないか不安になった彼氏からバーに確認の電話が来たりもする。
普通なら周りの人間がそんな恋愛観に嫌悪感を抱くのかもしれないが、A子はなぜか違う。特別なのだ。
バーで暇な時間はオーナーも含めみんなでA子の恋話を聞いたり、お客さん(男)も交えてガールズトークをキャッキャッと騒ぎながら面白可笑しくしている。
A子目当てで来るお客さんもたくさんいて、オーナーもそんなA子を可愛がっている。
そこで急に本の話が飛び出した。
オーナーはA子の文章力も買っていた。
バーのブログを日替わりでスタッフが更新することになっているのだが、私がみても確かにA子のブログは面白い。
とにかく非の打ち所が無いのだ。(二度目)
オーナーがA子を可愛がろうが、お客さんから人気があろうが、どんなに素敵な彼氏と付き合っていようが、私にはどうでもよかった。
私自身もA子が好きだし、彼女には勝てる勝てないの次元ではないなと出会った時から感じていた。こいつは立ってるフィールドが違う。そんな存在だった。
だけどなんだかA子はくすぶっていた。(そう私が勝手に思っているだけだけど)
非の打ち所がないくせに、モデルとして大成するわけでもなく、スペシャルな条件の彼氏と結婚するわけでもなく(同棲解消して別れる一歩手前)、キラキラした仕事をするわけでもなく。。
薄汚れた大人の言い方をすれば、「スペックは完璧なのに、状況がなんか惜しい。」
そんな感じだった。
本の話が出るまでは。
若干のくすぶり感をみせるA子にどこか安心していたのかもしれない。
気付かないフリをしていただけで、A子に嫉妬していたのかもしれない。
最近急にA子を羨んでいる自分に気がついた。
焦っている自分に気がついた。
本の話が出てからだ。
オーナーは言った。
「A子をネタにした恋愛観の本を出そう。A子と協力して執筆して、本が10万部売れたらA子に600万。俺に400万。」
さらには
「今掲載してる雑誌のコラムを月替わりにA子と交互でやろうかな。」
おいおい。
まじかよ。
待ってくれよ。
それじゃリアルキラキラ女子A子ちゃんになってしまうじゃないか。
私が心のどこかで安心していたくすぶりA子ちゃんは、思いがけない形でウン百万という金を手にし、最終的には運までも手に入れたリアルキラキラA子ちゃんになってしまうじゃないか。
その話を聞いた日から今日に至るまで数日間、私は必死に考えている。
薄汚い頭脳をフル回転させ、薄汚い思考で必死に考えている。
私にも何かできないかと。
A子がウン百万手に入れるその日までに私もウン百万を手に入れなければ。
誰にでもできる方法ではなく、なんとなくキラキラしていて、運に見初められた形で。
この話をまとめながら気付いたことがある。
気付いたというより、確信したことがある。
私って本当に性格が悪い。
私は見えない何と戦っているのだろう。
結局、人の不幸は蜜の味だし、他人に舞い込む奇跡のようなキラキラストーリーはちっとも美味しくない。
美味しいのは自分に舞い込む奇跡のようなキラキラストーリー。
・今年中になんかキラキラした仕事をするようになって大きなお金を手にする(ざっくり)
とか
・憧れのあの人に出会って連絡先を交換して飲みに行って仲良くなる(ありがち)
とか
・あなたを美しくしますみたいな企画とかプランに巡り合って、髪や肌もツルツルピカピカになってナイスバディ-になって可愛くなる(他力本願)
とかね。
願わなきゃ叶わないからね。
ていうかキラキラストーリーを叶える方法って願うこと以外知らない。
"隣の子が本を出版するとか言うから自分にも何か出来ないか焦って考える"
↓
↓ 考えた結果
↓
願う。
運さん、こんな私ですが、是非遊びに来てくださいね。
お待ちしております。