父からの着信履歴。
父からの着信履歴。
折り返す勇気はない。
私は、甘く、ぬるま湯に浸かっていた自分が恥ずかしくて、
父に合わせる顔がなかった。
父からの手紙を読んだ次の日、
求人に応募したネイルサロンから返信が来ていた。
志望動機、得意分野、不得意分野、これからの展望。
数多くの質問。
私のもっとも苦手な分野だった。
たじろぐ私に、悪魔がささやく。
「とりあえず1回閉じて、後でゆっくり考えようぜ~」
父の手紙を思い出し、悪魔のささやきに抵抗する自分。
(´_ゝ`)
え、ソレ、ナンノコト?
(´_ゝ`)
生まれ変わった自分はどこにもいなかった。
いや、まだ私は生まれ変わっていなかった。
(´_ゝ`)
あの私の大粒の涙はなんだったんだ。
とことん私はクズじゃないか。
もう、性根が腐ってるとしか言いようがない。
こんな状態で、折り返す勇気もない。
数時間後、また父から着信があった。
数コール考えて、「応答」をタッチした。
電話を切るまでの約30分間、
私はひたすら泣きながら、鼻を詰まらせながら、
「うん・・うん・・そうだね。」と頷くことしかできなかった。
父からの電話は、落ち込んでいるであろう私を励ますためのものだった。
父から言われたこと。
・本気でやるつもりなら、楽しい仕事なんてこの世に存在しない。
・みんな口に出さないだけで、外に見えないようにしているだけで、本当はつらい。
・どんなに羨望のまなざしを向けられる、トップアスリートだって芸能人だって、選ばれし人になればなるほど、プレッシャーと戦い、葛藤し、毎日のように挫折を繰り返し、日々辞めたいと思っているかもしれない。
・逃げても逃げても、全てのことから逃げ続けて生きていけない。
・逃げを繰り返す未来が今見えているなら、いま目の前のことと向き合い、戦え。
・仕事が楽しく笑える日は来ないかもしれないが、それ以上の達成感がきっと手に入る。
私はいつでも、いまより楽しくなれることを探して、隣の芝を羨むけど、
就職してバリバリ働く同級生のあの子だって、どの子だって、きっとすごくつらい。
たまに会って女子会して、他愛もない会話をしているだけじゃわからないけど、その奥には、表に出さないつらさがある。泣きたくなる出来事がある。
私だけじゃない。
みんなそれぞれ知らないところで、戦って前に進んでいる。
そうやって大人になっていく。
いつまでも、嫌だったら泣いて助けてもらう子どもではいられない。
そんな当たり前のことにいままで気付かなかった。
あっちを通れば近いかな?
こっちの道はわくわくするな。
突き当りは行き止まりに見えるから、ここらで曲がっておこう。
楽しいことや近道を探して、
右折を何回も繰り返して、
私はまだ、あの頃と同じ場所にいる。
着実にゴールに近づく人は、己を信じた人。諦めなかった人。貫き通す人。
父からの電話と手紙、ここ数日の大泣き。
難しいことはよくわからないけど、
1つ決めたことがある。
私はもう逃げない。
嫌だと思ったことには絶対立ち向かう。
今までとは逆に、
ひるんだこと、逃げたくなったことには
意識して立ち向かう。
ネイルの道が合っていたのか、間違っていたのかはわからない。
好きなのか、嫌いなのかもわからない。
でもわたしはいま目の前にこれがあるから、これを選ぶ。
極めてやる。